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ビジネス未来人 ~熊本市・上乃裏通り~ [タウンマネジメント概論]

昨日5月12日(金)放送の「ビジネス未来人」、ゲストは熊本市の「上乃裏通り」の仕掛け人「山野潤一」さんでした。

■ビジネス未来人 (NHK教育)
http://www.nhk.or.jp/miraijin/

上乃裏通りでは、古い木造の家をお洒落な店に改装することによって200軒もの店が生まれています。今まで古い住宅ゾーンだった地区が商業ゾーンとして注目を集めているという効果のみならず、もとからの繁華街である「上通り」を再活性化させたりとか、このエリアが低家賃であることにより若者起業家にチャレンジの場を提供しているとか、色々な波及効果があるわけです。

詳細については、番組のホームページ

■File.41 古い建物を生かす達人
http://www.nhk.or.jp/miraijin/bangumi/0605/5_12/index.html

を見て頂くとして、参考になりそうなポイントを幾つか…


1.時間が必要

この上乃裏通りの成功事例も一朝一夕に作り上げられたものではなく、今の形になるまで20年かかっているわけです。
これは当然の話でして、活用のタネとなる古民家はある時期に同時に発生するものではなくて、持ち主の死去とか転居の機会があった時に出てくるものです。計画的な再開発のように、スケジュールにのっとって地上げをして一斉に工事を行えるというようなものではありません。

となると、山野さんのように20年にもわたって地道に活動することの出来るプロデューサーが必要という事ですね。

今の北九州TMOやまちづくり応援団㈱や行政の仕組みだと、人事異動のたびにスタッフが入れ替わってしまいますし、単年度ごとに成果を求められますので20年後を見据えて継続的にじっくり取り組むという事が難しいわけです。


2.ビジネスになっている

山野さんの場合、本業が「工務店」であり、きちんとビジネスになっています。もちろん古民家を一度壊して新築を立て直すやり方に比べれば儲けはずっと少ないかもしれませんが、それでも工務店ビジネスとしてきちんと成り立っていて飯を喰っていけるわけです。

「まちづくり」とか言うと、特に日本の場合「ボランティア」で行うことの方が良いことのように扱われがちですが、私はこの風潮に対しては疑問を持っています。
上記「1」で書いたように、まちづくりには10年、20年、30年という長い年月が必要です。これを無償ボランティアでやり続けるのは至難の技です。きちんとビジネス化して継続的に活動できるような「仕組み」を構築する必要があると思います。

上乃裏通りと同様の成功事例の一つに、福岡市の大名エリアがあります。この成功事例を作ったキーパーソンの一人に「西通りの母」と呼ばれる福山不動産の藤井昌(さかえ)さんがいます。

■西通りの母・藤井昌さん
http://fukuyamafudosan.com/haha.html

大名エリアだって、今のように全国的に注目を集めるようになるまでには10年以上の歳月がかかっています。きちんと「不動産業」としてビジネスになっているからこそ、これだけの中長期間、継続して活動できるわけです。

ビジネス化が必要だ、ということの理由は、上記の「継続性」ともう一つは、次に挙げる「専門性」です。


3.専門的な経験とノウハウ 



番組の最後に、三神キャスターが、

「古い建物に命を吹き込むのにどうしたらいいか」。このテーマを議論するときによく言われることがあります。それは、「建設について分かる人」、「建物を経営をしていく人」、「デザインやトレンドといった感性の部分が分かる人」、その3者が全員必要だということなんですね。
ところがこの3つのうち、どれか2つを兼ねられる人はなんとか出始めているんですが、山野さんは全部一人でおやりになっている、そういう新しいモデルなんじゃないかと思いました。


■三神万里子の一コマ後記
http://www.nhk.or.jp/miraijin/bangumi/0605/5_12/end.html

とまとめています。

古い建物に命を吹き込む(=いわゆるリノベーション)だけでも、「建設」「経営」「感性」という専門性が必要です。
ましてや、リノベーションを包含するもっと大きい概念である「テナントミックス事業」を本気で行おうと思ったら、「建設」「経営」「感性」はもちろん、「不動産」「金融」「マーケティング」「マーチャンダイジング」「プロモーション」……等々、多くの専門家が必要なわけです。

さらに北九州TMO[小倉都心地区]が掲げているのは8事業もあって、「テナントミックス事業」以外にも「共通駐車券事業」や「インフォメーション事業」等々それぞれに専門性が必要とされる事業が目白押しです。いったい何人の専門家が必要なことか……。

様々な専門家を外から集めてくるのか、外へアウトソーシングするのか、それとも内部で育てるのか……いずれにしても、北九州TMOとまちづくり応援団㈱も設立(2005年6月)からそろそろ1年が経とうとしてますし、近々「まちづくり3法」改正に伴い「TMO制度」がなくなってしまうわけですので、このような「専門的人材」についてどうするのか考えなければならない時期ではありますね。

 

 


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