「農商工連携」と「北九州市の中心市街地活性化」の連携 [北九州市のこと]
昨日の記事「「中心市街地活性化」はいずこへ?」の続きです。
◆「中心市街地活性化」はいずこへ? (2008年1月15日の記事)
http://blog.so-net.ne.jp/kitakyushu/2008-01-15
平成20年度の経済産業省予算のキーワードの一つとして「農商工連携」が挙げられています。従来、「商業」と「工業」は経済産業省の所管でしたが、「農業」は当然農林水産省の所管だったわけです。とうとう、経済産業省が「農業」分野にまで乗り出そうというわけですが、それくらいに日本の農業を取り巻く環境は厳しいということですね。
◆「中心市街地問題」と「農業問題」、どっちも悩ましい~~ (2007年10月24日の日記)
http://blog.so-net.ne.jp/kitakyushu/2007-10-24
「農業」は産業分類では「第1次産業」に分類されるわけですが、「第1次産業」としてだけの農業を行っていてはとても「業(ビジネス)」として成り立たないというのが日本の農業の現実です。
今後は、農畜産物を「生産」する(第1次産業)だけではなくて、その農畜産物を加工して商品化し(第2次産業)、その商品を流通・販売するところ(第3次産業)まで手がけることによって付加価値を高めることが必要です。その付加価値を農業従事者の収入にすることで、農業をビジネスとして成立する「業」にしようというわけですね。
数字を足すと(or 掛けると)6になることから「第6次産業」という表現が使われたりします。
第1次産業 + 第2次産業 + 第3次産業 = 第6次産業
or
第1次産業 × 第2次産業 × 第3次産業 = 第6次産業
私個人的には、第6次産業のもっと先を目指して、グリーンツーリズムのような観光・体験やITを活用した販売など「第4次産業」 「第5次産業」まで掛け合わせていきたいと思っておりますが。
私が、農業高校の学生に教えている「経済学」は、正にこの視点からのアプローチです。なんたって、私は正統な「経済学」とか「農業学」は自分でも全く習ったことの無いズブの素人なので、こういう怪しい経済学しか教えることが出来ないんですよね(笑)。
で、授業においては、理論を教えても仕方がないので、毎回、先進事例のビデオを見せています。
やはり、一番分かり易い先進事例といえば「ぶどうの樹」(グラノ24K)ではないでしょうか。
◆「ぶどうの樹」(グラノ24K)
http://www.budounoki.co.jp/
◆町に元気を呼ぶレストラン (ビジネス未来人)
http://www.nhk.or.jp/miraijin/bangumi/0510/10_07/index.html
そうです。北九州市のすぐ近くの岡垣町に先進事例があるんですねえ~。
そして、北九州市の中心市街地にも「ぶどうの樹」の店舗はたくさんあるんですねえ~。
◆ぶどうの樹 店舗マップ
http://www.budounoki.co.jp/a10_sonota/index.html
◆野の葡萄 小倉店 (I’m専門店街12F)http://www.budounoki.co.jp/tenpo/ise_nobdo/index.html
◆バーベキュービレッジ/ぶどうの樹小倉店 (I’m専門店街屋上)
http://www.budounoki.co.jp/tenpo/bbq/index.html
◆花葡萄 小倉店 (I’m専門店街12F)
http://www.budounoki.co.jp/tenpo/hana/index.html
◆野の葡萄 井筒屋黒崎店
http://www.budounoki.co.jp/tenpo/kro_nobdo/index.html
◆花葡萄 井筒屋黒崎店
http://www.budounoki.co.jp/tenpo/hana_kro/index.html
はあ~、やっと、 「農商工連携」の話と、北九州市の中心市街地活性化の話が繋がりましたね~。
その他、有名な事例としては、
◆農家の5代目は起業の達人 (ビジネス未来人)
http://www.nhk.or.jp/miraijin/bangumi/0507/7_22/index.html
◆都会に届け”イモリ谷”の味 (ビジネス未来人)
http://www.nhk.or.jp/miraijin/bangumi/0512/12_02/index.html
◆生ごみを宝に変えるレストラン (伊万里はちがめプラン)
http://www.nhk.or.jp/miraijin/bangumi/0612/12_08/index.html
◆農業生き生き おばちゃんの会社 (ビジネス未来人)
http://www.nhk.or.jp/miraijin/bangumi/0611/11_10/index.html
◆極上ワインを宮崎から世界へ (都農ワイン)
http://www.nhk.or.jp/miraijin/bangumi/0707/7_15/index.html
◆有限会社 新福青果 ~ITを活用した農業経営~ (宮崎県)
http://www.shinpukuseika.co.jp/html/info.html
◆木の花ガルテン (大山町)
http://www.oyama-nk.com/konohana-g/index.html
……………etc.
こうやって並べてみると、九州の事例が多いですね。さすが、九州は農業大国(州?)ですね。
黒崎の事例ですが、昨年からみやこ町(旧勝山町)のJA福岡勝山が、熊手銀天街に農産物のアンテナショップを出していて、大人気だそうです。毎朝の入荷と同時に新鮮な卵やお米などがとぶように売れていて、わたしは一度だけ行ったのですが、夕方だったせいかもうほとんど商品がないんですよ。
普通アンテナショップと言えば、東京とか、福岡とか大都市への出店をめざすものですが、ここは逆をついて見事に大成功のようです(大都市だとアンテナショップがあちこちにあって競争が激しいですからね)。
ところで勝山と黒崎は近くも遠くもなく、これまでほとんど縁のなかった町同士ですが、人と人とのつながりで話が進み、ショップについては勝山の生産者側と黒崎の商店主さんたちとの間で何度も勉強会を重ね、お互い顔見知りになったうえで出店が決まったそうです。そんな「地域連携」って、あったかくていいな~と思いました。
by ま・ね・ふく (2008-01-17 17:39)
ま・ね・ふくさん、こんにちは。
黒崎のJA福岡勝山アンテナショップは、私はまだ実物を見ていないんですよ。黒崎に行くのはいつも商店街のワークショップで夜だったので、アンテナショップは既に閉店した後だからです。
ついでに、黒崎商店街の基本コンセプトについて私個人的には、このような「食(飲食、食料品小売)」「コミュニティサービス」「地産地消」「地域連携」「農商工連携」ではないかと思っております。
「衣料品」や「雑貨」「身の回り」などのアイテムは、井筒屋やメイトにもありますし、今後「イオン」「野村」「コムシティ」の新規出店を合わせると約10万㎡もの床面積が増えることを考えるとテナントを引っ張ってくるのも至難の業ですし、買い回りアイテム購買はどうしても小倉や博多へ流出してしまいます。
さらに、特にバブル期以降の流通構造の急激な変化により「衣料品」「雑貨」等の業種は、SPA(製造小売)、SCM(サプライチェーンマネジメント)が可能な大手メーカーと小売でないと扱うのが困難です。家業店・生業店がメーカー・卸から仕入れて販売していて業として成立するアイテムではなくなってしまいました。
さて、「地産地消」「地域連携」の方向に進もうとした場合に問題なのは、ま・ね・ふくさんが
> 人と人とのつながりで話が進み、ショップについては勝山の
> 生産者側と黒崎の商店主さんたちとの間で何度も勉強会を重ね、
> お互い顔見知りになったうえで出店が決まったそうです。
と仰っているように、「人」と「時間」がとっても重要だと思うのですが、これらと、役所の単年度主義の補助金や、今進んでいる国の「中心市街地活性化基本計画」のように数値目標の成果を厳しく問われる仕組みとが相容れにくいところです。逆に邪魔になってしまったりもします。
まあ、役所や国に頼らなくたって現場でやる気のある人が頑張れば物事は進んでいくとは思うのですが、一方ではどうせ税金を投入するのであれば大型ハコモノ施設ではなくこのような地道な取り組みを行っているところを支援した方が良いのになあと思ったりもして、悩ましいところです。
by かいたろ (2008-01-18 10:01)