このスキームの肝は「テナント・マネジメント」……であります! [法律・制度]
「中心商店街再生研究会」の研究の続きです。
まず最初に戻って、この研究会の「趣旨」を見てみます。第1回目の会議資料に書かれています。
◆資料1 不動産の所有と利用の分離による空洞化中心商店街・大型空き店舗の再生について(開催趣旨)
http://www.machigenki.jp/pdf/seisaku/research/vol1/seisaku_research_siryou1.pdf
【資料中から引用】
1.趣旨
中心商店街の空洞化問題に対して、商店街の不動産の所有と施設利用・商業経営を分離し、まちづくり会社が、利用権を集約して一元的に商店街でテナント・マネジメントを行うことにより、商圏の規模・需要構造に応じた適切な店揃えを実現することで、空き店舗を解消し、中心商店街を再生する方策を、有識者、専門家による研究会を設置して検討する。
この文言の中で最も重要なキーワードは 「テナント・マネジメント」 だと思います。そこを勘違いしてしまうと、経済産業省のせっかくのこの新しい試みも成功は覚束ないのではないかと懸念されます。
どういう勘違いをし易いかと言うと、上の文章の中の 『商店街の不動産の所有と施設利用・商業経営を分離し、まちづくり会社が、利用権を集約して』 というのが最終的な「目的」であるかと勘違いしてしまうことですね。
丸亀町商店街の事例以来 「所有権と利用権の分離」 というのが流行り言葉のように中心市街地関係者の間にも普及してきましたが、「所有権と利用権の分離」を行えば即中心商店街が再生するというわけではありません。
もっとも重要なのは 「テナント・マネジメント」の方であって、「所有権と利用権の分離」というのはあくまでも「テナント・マネジメント」を円滑に進めるための「手段」であります。「目的」と「手段」を取り違えるという勘違いはありがちですからね。
ですので、このスキームの核となる「テナント・マネジメントとは何ぞや」ということを理解しないまま、周辺の「所有権と利用権の分離」や「アセット・マネジメント」をいじくるのは本末転倒かと思います。
しかも、これまでの商店街問題や中心市街地問題を扱う際に使われていた用語に 「テナントミックス」 とか 「テナントリーシング」 というのはありましたが、 「テナント・マネジメント」という言葉はあまり使われてなかったと思います。SC業界においてすらあまりメジャーな言葉ではないですね。ですので、 まず「テナント・マネジメントとは何ぞや」 ということをきちんと定義付けて、認識を共通化しておくことが非常に重要かと思います。
個人的には、そもそも 「テナントミックス」 とか 「テナントリーシング」 という用語は好きではないんですね。「テナントミックス」というのが一体何の事を指しているのかは20年近くSC業界で働いている私にも意味不明ですし、「テナントリーシング」というのはSC業務の中のごくごく一部にしかすぎませんからね。
今回の研究会では、今までの「テナントミックス」とか「テナントリーシング」という用語を使わず、 「テナント・マネジメント」 という用語を使っていることだけを見ても、今までのやり方とは根本的に違う何かを行おうとしているのだということが読み取れますね。
具体的な 「テナント・マネジメント」 の中身については、研究会の資料の中で主に下記の資料に書かれてあります。
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